「僕の中ではもう一度ニューヨーク、ニューヨークなんですよ」――Potluck Partyで生まれた、JAPAN Fes参加者とこれから挑戦する、ふたりの対話

Jforwardでは、参加者それぞれがご飯を持ち寄って集まる場を通じて人々の輪を広げる交流イベント「Potluck Party」を、東京で毎月定例開催しています。テーマは 「Real Connection」。オンラインだけでは得られない、対面だからこそ生まれる信頼や温かな繋がりを大切にする場です。

地域も業種も背景も異なる人々が、ひとところに集まり、ご飯やお酒を持ち寄って話す。商談や打ち合わせの場ではないからこそ、肩書きを脇に置いた本音の対話が生まれます。

2025年5月のPotluck Partyでは、ちょうど隣り合った2名の参加者の間で、印象的な対話が交わされました。2025年4月にJAPAN Fes・ニューヨークへ出展されたばかりの石野さん(やきとんなべ屋 | 東京中心・もつ焼き屋3店舗経営)と、これから挑戦を目指す笠本さん(名古屋中心・手羽先屋/天むす屋4店舗経営)。挑戦したばかりの人と、これから挑戦しようとしている人の会話を、ほぼそのままお届けします。

なぜニューヨークを目指すのか

石野さん:笠本さんは、ニューヨークのJAPAN Fesにこれから出てみたいと思った経緯は、どういう感じなんですか。

笠本さん:海外に移住したい、自分のブランドで勝負したいっていう、本当に単純な「やってみたい」みたいな。

石野さん:どこに、とかは。

笠本さん:特に決めてなくて。ただアメリカってかっこいいから。アメリカ、ニューヨーク、みたいな。名古屋で「海外行きたい」って言ってる人ってあんまり多くないんですよ。「東京行きたい」「大阪に出店したい」って人はいますけど。

笠本さん:名古屋で有名な柴田さんっていうパティシエがいて、その人は「名古屋をちゃんと売りたいから」って、名古屋の柴田として海外行くんですよ。うちも、東京で勝負するより海外で勝負しちゃった方が、今のご時世いいんじゃないかって。

笠本さん:いやでも、英語とか全然喋れないんで、正直。

石野さん:僕も全く喋れないで今回挑戦しました。

笠本さん:心強い。どうでした。

当日、気温1℃、雨と強風

石野さん:当日が、めちゃめちゃ悪天候だったんですよ。前の日が最低17℃/最高30℃。当日が最低1℃/最高8℃。しかも雨、強風。

笠本さん:うわぁ、なるほど。

石野さん:強風で、フロントバナーの真ん中の棒が折れちゃった。

笠本さん:やばい(笑)

石野さん:テントとか機材は全部JAPAN Fesの方たちが用意してくれて、こっちは「何が必要か」を伝えれば準備してもらえる。焼き台もサイドで用意していただいて。

笠本さん:何が必要かだけ、こっちがまとめると。

客層は、思っていたのと違った

笠本さん:客層は、どんな感じだったんですか。

石野さん:嬉しかったのは、本当に欧米の人っぽい人が「美味しかった」ってまた買いに来てくれたんですよ。そんなに多くはなかったですけど、3人ぐらい。

笠本さん:リピーター、嬉しいですよね。

石野さん:アジア系とか中東系の人が並ぶのかなと思ったら、意外に欧米系のがっつり白人の人とか、ブレイズを編んだ黒人の若い女の子とかが買いに戻ってきてくれた。

笠本さん:本物の味を出してくれるのって、現地の人からしても嬉しいですよね。

「アメリカの内臓、美味しくなかった」――現地で考え方が変わった瞬間

石野さん:うちは焼きとんで、豚の内臓で勝負するつもりだったんですよ。いろんな内臓を仕入れてくれて。でも正直、アメリカの内臓、僕の中で美味しくなかった。

笠本さん:ああ。

石野さん:美味しくないものをお客さんに提供するのは、自分の中で違和感で。だったら内臓にこだわる必要ないのかな、と。豚バラだったら臭みもなかったし、これを工夫すればいいんじゃないかって。

今までの自分の頭の硬かった部分を、ちょっと砕いてくれた。それが繋がって、今年、サマーソニックにも申し込んだんですよ。豚バラに絞って勝負してみようって。これまでは、あまりに人が来すぎると、うちのこだわりの提供ができないっていうので避けてたんです。でも、こだわりも大切だけど、こだわりすぎて回らなくなるのは良くない。忙しい時に5種類あって100人並んでて「AとCとDください」とかに対応できるかって、多分できない。だったら豚バラ1だけ、それと豚バラをご飯ものに乗っける2種類で勝負すれば回せるんじゃないかって。

笠本さん:いい仮説ですね。

石野さん:自分の中の硬かったところを、ニューヨークがちょっと壊してくれた感じですね。

「与えられた条件で、最大限のパフォーマンス」

笠本さん:難しかったこと、ありますか。

石野さん:もう難しかったことは、正直ないです。与えられた場所、与えられた食材、与えられた仕込み場があれば、やるしかないじゃないですか。

笠本さん:わかります(笑)与えられた条件で、最大限のパフォーマンスを。

石野さん:そうです。だから難しいことはなかった。物が揃ってればできる。一番、もっと前もって調べられたら良かったのは、現地でどういう肉が仕入れられて、どういう味なのかっていうところ。まあ、これは現実的には無理な話なんですけど。今回実際に行ってみて、向こうのロースはこういう感じなんだ、バラ肉はこういう感じだから、バラ肉ならいけるかなって勉強できた。来年はニューヨークでもバラ肉だけで挑戦してみようかなって。

笠本さん:行ったから分かることですね。行って、こうだったから次こうしようみたいな。

石野さん:本当、何も分かんなかったですから。うちのスタッフから、いろんな質問されるんですよ、「これどうするんですか」って。「いや、俺もわかんねぇ。もう行くしかないだろう!」って。

「やる前にうだうだ言うんじゃなくて、やった後にうだうだ言おう」

石野さん:うちの店でスタッフによく話すのが、「やる前にうだうだ言うんじゃなくて、やった後にうだうだ言おうぜ」って。やる前にうだうだ言ったって、わかんないじゃないですか。

笠本さん:確かに。

石野さん:今回のニューヨークの結果も、やってみた結果、売り上げ的には全然良くなかった。だけど、それにまた気持ちが高ぶったっていうのが、良かったですね。

数字で見る挑戦――4泊6日、4人、約300万円

石野さん:マイナスな部分で言うと、お金が多少余裕があって「赤字OKだ」っていうんであれば、僕は勧めたいですけどね。いろんな要素があって、黒か赤か、どっちに振れるか分からないですから。

笠本さん:それなりに出ていくお金があるだろうなとは思ってるんで。

石野さん:結構な金額いきましたよ。今回ぶっちゃけて言うと、結構安いビジネスホテルに泊まったんですけど、4人で航空券とホテル代だけで4泊6日140万円。出店費用と仕入れ全部入れたら、300万弱。

笠本さん:材料代もありますもんね。

石野さん:今回、雨で売上は1日で約45万円(約$3,000)ぐらい。なので収支は……なんだけど別に、全然良かったです。

笠本さん:100万円ぐらいで考えてるイメージですかね、2人で行くんだったら。

石野さん:いいと思います。

笠本さん:一緒に行く人が「手伝うよ」って言ってるんで、そっちが2人来ると思う。

石野さん:僕の中で、200〜300万円の赤字は覚悟して行ってるんですよ。想定内。それぐらいの想定で行った方が多分、遠征費もかかる中、海外で利益を出すというのは相当難しいと思うので。

「ナンバー2を連れて行きました」

笠本さん:3人連れて行こうって決めたのは、何だったんですか。

石野さん:一番右は英語ペラペラなんですよ。真ん中はうちのナンバー2。隣はうちの嫁。連れてかない理由がなかった。

笠本さん:会社的に「育てるようなことやってます」って言えるのは、だいぶでかいですよ、本当に。モチベーション上がるんじゃないかな。将来、スタッフみんなが「行きたい」って言いそうですしね。

石野さん:そうそう、全員行きたいって。だから、JAPAN Fesに乗っかってじゃないですけど、年に1回そういう機会で、頑張ってるスタッフを厳選して「じゃあ今回はお前だ」って連れていくのも面白いのかなと考えたり。 一番は、挑戦してるっていうのを間近で見せたかったんですよ。今、人手不足じゃないですか。募集かけても来ない。「うちはこういう挑戦をしている店なんだ」っていうブランディング、正直あります。

今回ニューヨーク挑戦するってインスタにあげた時、僕個人のアカウントって600人ぐらいしかいないんですけど、お店の周年とか誕生日でも多くて100人ぐらいの「いいね」が、今回200人超えたんですよ。共感してくれる人って、いるんだなって。

笠本さん:嬉しいですよね。

石野さん:めっちゃ嬉しかったですよ。

持ち込みは、横断幕とのれんと、カップラーメン

笠本さん:持ち込みとかしてないんですか。タレとかスパイスとか。

石野さん:ニューヨークの審査が、関税が厳しいんで、突っ込まれるの嫌だったから持ってかなかったんですよ。現地で調味料用意して。なので自分では、横断幕とのれんぐらいしか持ってない。

笠本さん:これだけ作って。

石野さん:あとは、値段が高すぎて飯は外で食べれないっていうんで、外食を極力控えるために、カップラーメンを多めに 笑

「経験値として、行った方がいい」

笠本さん:壁を越えて、また新しい知見が広がって。

石野さん:今回やるにあたって、「俺はもつ焼き屋なんだから内臓で勝負するんだ」って思ってたけど、向こうで仕入れる内臓がそんなに美味しくない。じゃあどうするってなった時に、形を変えて、別に豚肉だったら豚肉の別なもので勝負していけばいいんじゃないか、と。「郷に入っては郷に従え」じゃないけどみたいな考え方になりました。

お金の部分では、正直「儲かりますよ」とは勧められないですけど、経験値としては、僕は行った方がいいかなって思いますね。なんかこう、ちょっと若い時にあった、いろんなワクワク感というか、期待感というか、そういうのがあって。失敗したからって引き下がるのも、特にアメリカだし、もう1回リベンジしてやろうみたいな気持ちになったというか。言葉じゃよく分からないんですけど、自分の気持ちがこう、前に進んでいこうとしてるというか。なので、行ったほうがいいです。

笠本さん:行きます!

石野さん:スタッフからは「次はパリとかテキサスに挑戦してみてもいいんじゃない?」って言われたんですけど、僕の中ではニューヨークなんですよ。もう一度、必ずニューヨークに挑みます。

笠本さんは、これからニューヨークに挑戦予定、そして石野さんは来年再びニューヨークでリベンジ予定です。Potluck Partyで生まれた対話が、次のJAPAN Fesにどう繋がっていくのか――現場で会えるのを楽しみにしています。

Potluck Party について

JAPAN Fesでは、食を通じて人々の輪を広げる交流イベント 「Potluck Party」 を東京で毎月定例開催しています。

■ コンセプト

  1. 繋がり:画面越しではない、本物の信頼関係を築く

  2. 調和:国籍や地域を超え、多様な人々が共鳴する

  3. 良き仲間:上下関係のない、温かく安心できるコミュニティ

■ 2026年 東京開催スケジュール(毎月水曜 17:00〜19:00)

  1. 6/10、7/8、8/19、9/9、10/14、11/11、12/9

■ 参加条件

スナック菓子やドリンク1本からでOK。お気軽にお持ち寄りください。

■ 開催場所

都内WeWork(お申込み後にご案内)

■ お申し込み

お申し込みフォーム よりご連絡ください。

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